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WEARがファッション業界にもたらす影響とは?| ショールーミングの現状と未来


アメリカのブラック・フライデー&サイバー・マンデーショッピングに便乗して、ショールミングからのオンラインショッピングを満喫中のParis(@Japanese_paris)です。
ショールーミングとは、お店に行って欲しいと思った商品を後でネットで買うこと。書籍や家電を買う時、本屋さんで立ち読みしたり、家電量販店で触ってみて、その後でamazonや楽天でググって、より安くかったり、ポイントをゲットできるお店で買うという行動は、今や当たり前になったよね。

 

特に、この1、2年の間にショールーミングの波が、ファッションの世界にも押し寄せてきているわけだけど、今年になって、日本のファッション業界を根底からゆる揺るがす事件が勃発しました。
それは、ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイが導入した、新サービス「WEAR」。

■WEARとは
スタートトゥデイのプレスリリース によると、WEARとは下記の通り。

 WEARは「WEAR FOR CONNECTION」をテーマに、バーコードスキャン機能や、アイテム情報と連携したコーディネート画像の提供などを通して、ショッピングをより楽しんでいただいたり、コーディネートの参考にしていただけるファッション特化型のメディアサービスです。

簡単に言うと、このサービスの特徴は下の2つ。
(1)お店で気になった商品をスキャンし、後からオンラインで買うことができる機能
(2)商品情報が結びついたコーディネート画像の共有

 

■ショールーミングにまつわる事実
下のインフォグラフィックが示す通り、ショールーミングによって購入する可能性が高い商品カテゴリーは、アパレル・アクセサリーのカテゴリが、家電電化製品の63%に次ぐ第二位で、43%。書籍の29%よりもアパレルカテゴリが高くなっていることにやや驚き。数百円〜数千円なら別ににいいか、って感じなのかしら。

(出典:statista

ちなみに、私の場合どんな安い本でも、近所の大型書店で内容チェック&スキャンをして Libronで図書館で借りることができるかチェックし、図書館に在庫なしだった場合にamazonでオーダーというケチりっぷり。余談だけど、Libronってとっても便利なのよ? Amazonと連動させると、近所の図書館に在庫ありかどうか一瞬でチェックできちゃうんだから!

では、リアル店舗とオンラインでどれくらいの価格差があった場合、消費者はオンラインで買うことを選択するのか?
2013年に発表されたコロンビア大学ビジネススクールのショールーミングに関する調査結果「Showriiming and the rise of the mobile-assisted shopper」によると、以下の通りとなっています。

この調査によると、$50以下の商品については20%OFF、$100以下の商品なら10%OFF、$500以下の商品なら5%OFFの割引率がカスタマーの行動を左右するようです。

また、ショッピング中にスマフォをいじっているが、実際に何をしているかというと、お店のサイトたその他のサイトで気になる商品の価格をチェックする他、商品のレビューを読んだり、お店で使えるクーポンを探したり、または友達にショッピングの相談をしているとのこと。


商品のレビューとは、ファッションの世界においては買おうとしている商品を使ったコーディネートと当たるはずです。そこで、WEARが商品情報に基づいたスタイリングを情報が観られる機能を付けたことは、非常に的を得ていると思います。

 

■私の立ち位置:ショールーミング推奨派!
初めに、私の立ち位置を明らかにしておくと、私自身は完全にショールーミング推奨派です。したがって、スタートトゥデイの「WEAR」への取り組みも支持しています。(支持とか言っちゃうと、なんか上から目線に聞こえますが…単純に応援しています!って意味です。)

 

■WEARを使ってみた感想と課題
WEARのスキャン機能を実際に試してみると、今後のショールーミングをさらに便利なものにするための課題とヒントが見えてきました。現在のWEARの主な問題点や懸念点を挙げてみます。

  1. スキャンをする際の罪悪感
  2. 非対応商品の多さ
  3. 商品を購入できるのはZOZOTOWN または公式ONLINEだけ?
  4. 商業施設の猛反対
  5. チェックインの煩わしさ

1. スキャンする際の罪悪感
私がWEARを試してみた場所は、WEARを全面的に協力している渋谷パルコでしたが、スキャンをするのにどことなく罪悪感と躊躇いを感じてしました。
お洋服のお店では、撮影禁止が暗黙の了解(時には注意される)だったので、多少の罪悪感は拭えません。また、ショッピングは一人で楽しみたい私にとって、商品をスキャンすることによって、店員さんが話しかけにくるチャンスと話題を提供する行為は、WEARの利用を思い留まらせる大きな要因に。

さらに、お洋服のお店でタグを引っ張りだすことにも抵抗を感じます。自意識過剰な私は、「こいつは値段で服を選んでいる」的に見られるの嫌なので、商品のタグを引っ張り出すことに躊躇いを感じます。そんな私にとって、スキャンをすることは精神的に厳しかったです。

ただ、この罪悪感はショールーミングが一般化するに連れ解消されてくるはずなので、大きな問題ではありません。10年前にレストランで写真を撮りまくる行為はありえませんでしたが、今では当たり前の光景となりました。

 

2. 非対応商品の多さ
勇気を出してタグを引っ張りだしたものの、非対応の商品が結構あってがっかり。けれど、サービス自体が普及すれば、解決される問題だと思うので、そんなに気にしてないわ。

 

3. 商品の購入はZOZOTOWN または公式ONLINEだけ?
スタートトゥデイが提供するサービスなので、商品情報の参照先及び販売サイトがZOZOTOWNになるのは当たり前ですが、色々なサイトで比較をしたいのが消費者の心理でしょ?

 

4. 商業施設の猛反対
東洋経済オンラインさんに詳しく書いてありますが、テナントの売上に応じた賃料収入が主な収益源である商業施設を中心に「WEAR」の導入に反発中。またブランド側としても、ZOZOTOWNや他のECサイトではなく、自社のサイトから購入して欲しいところ。商品が売れた場合ブランドは手数料をZOZOTOWNに支払わなくてはいけないんですもの。

 

5. チェックイン機能の煩わしさ
4.のWEAR反対派店舗を配慮し、WEARの使用を許可している店舗のみでWEARが機能する様に、チェックイン機能が追加されました。「ショップチェックイン」をすると、参加店舗のみでの商品をスキャンできるようになります。

ですが、これが結構めんどくさい。欲しいものがどこの店舗にあるかわからないし、「あ!これ欲しい」と思った時に一回お店の入り口に戻って「チェックイン」して、さらに商品のタグを引っ張りだしてスキャンというのは、結構な手間。だからと言って、全てのお店に入る前にいちいちチェックインするのもまた面倒…

 

■Parisが考えるNEWショールーミング・システム
以上の問題点を踏まえて、Parisからの提案はこちら。なお、「ISFN」は実在しない架空のコードです。

1. ファッション版ISBNコード、「ISFN」を導入
2. 気に入った商品の「ISFN」コードを読み込むと、位置情報に基づき販売店舗を特定&タグ付け
3. スキャンした商品が購入可能な店舗を全て表示
4. オンラインで購入が成立した場合、売上の数%が2.でタグ付けされた販売店舗に支払われる

全てのアパレル商品に対して国際基準の統一コード「ISFN」を設定し、このコードをリアル店舗で読み込む。コードを読込む際には、位置情報に基づき店舗情報が付与され、オンラインで購入が成立した場合に、売上の数%がコードが読み込まれた店舗に対して支払われる仕組みなんていかがでしょうか?現在のアフィリエイトシステムを、リアルの世界に持ってきた感じです。

1.
書籍の裏表紙についている、バーコード「ISBN」(International Standard Book Number) は、世界で共通に使われている書籍を特定するためのコードです。これのファッション版 ISFN (International Standard Fashion Number)なんてものを作ってみてはいかがでしょうか?重要なのは、国際標準であること。
国際標準であれば、例えば、海外からの観光客が日本で気に入った商品を、自国に戻ってから購入することもできるし、他の国で売られている日本のブランドの製品を、日本のサイトから直接買うことも可能になります。(もちろん、日本のECサイトがグローバル化していることが前提ですが。)
一方で、日本で海外ブランドをセレクトしているお店にとっては、打撃となります。完全にサイズを確かめるだけに利用されて、後はshopbopやNET-A-PORTER.comで買われてしまう可能性もありますが、現在もすでにそのように利用している人は沢山いるので(少なくても私の周りには)、もう止められないでしょう。
でも怒らないで!その問題を解決するために、施策2、3、4と続きます。

2.
商品に付けられた「ISFN」コードを読み込むと、スマートフォンの位置情報機能により、販売店舗が特定され、店舗情報がタグ付けされます。この時のタグ付けは、オンラインでいう「クッキー」の様なものとなります。

3.
「ISAN」コードを読み込むと、スキャンした商品が現時点で購入可能なストアがGoogle shoppingの様に表示されます。消費者は、自分にとって最も好都合な店舗から購入することが可能になります。
ISANコードがあるので、探している商品ページにピンポイントでたどり着くことができます。また、価格が比較できることはもちろんのこと、送料無料やポイント還元などの条件も合わせて比較できるようになります。

4.
3.で選ばれたストアにて商品の購入が成立した場合、2.の商品の元の販売店舗(スキャンをしたお店)に対して、売上の数%が支払われます。アフィリエイトのシステムと近いです。
アフィリエイトシステムでは、ブロガーが紹介した商品を読者がそのブログ経由で購入した場合、売上の数%がブロガーに支払われますね。スキャンをした店舗 = 商品を紹介するブログ と同じポジションです。

このISANコードを使用した一連をシステムを導入すれば、消費者は、一人ひとりのライフスタイルに合った形で、より便利に&お得にショッピングが楽しめるようになります。
また、3.で消費者にとって最も都合が良いサイトが提示されるので、購買へのコンバージョンが上がります。購買へのコンバージョンが上がれば、その分収益も増えるので商品を販売するブランドにも、売上に応じて数%のバックが得られる、販売店舗とってもメリットとなります。

 

■一億総スマフォ時代の可能性
Paris考える新しいショールミングの仕組みについて、上で紹介してきましたが、ショールミングが浸透してきたこの時代において、ショールミングという行動自体にも、リアル店舗にとってチャンスとなる要素が隠されていると思っているの。

ショールーマーが店内でスマフォを使って行っていることが、値段に比較だけでなく、商品のレビューを読んだり(ファッションの世界ならコーディネート探す)、店内で使えるクーポンを探しているという事実を先に紹介しましたが、実はこれらの行動は、リアル店舗にとってチャンス!なのです!

・コーディネートを提案する
店内でディスプレイ商品の数は決められています。そこで、消費者に気になる商品をスキャンしてもらい、商品ごとにコーディネートの提案ができれば、購入の大きなモチベーションとなります。
また、何を買うか決めずにふらっとお店に入って来た人に、お店の商品を使ったコーディネートをランダムに見せるのも効果的だと思います。
沢山商品があると、何を買えばいいかわからなくなってしまう病の私。厳選された素敵な商品やコーディネートが紹介されるとそのままそっくり買いたくなってしまいます。(そして、実際に買ってる)

・会員登録を促す
もう一つ、ショッピングをしながら店内で使えるサービスを探しているという点にも注目。そこで、その店舗のロイヤリティプログラムに登録するとその場で使える割引や、ソーシャルメディアのフォロー(facebookページに「いいね」)を教えてもらうなど、新規顧客獲得のチャンス!
店内で無料のWi-Fiを提供するのもありかも。もちろん、接続したらまず会員登録画面が表示されるようにするのをお忘れなく。

 

■ショールーミングの未来 〜オンラインで買う意味、オフラインで買う意味〜
今後、ファッションの世界においてもショールーミングが広まることはもう避けることはできません。どんなに「店内撮影禁止」というルールを掲げたところで、消費者はより便利な方法を選ぶに決まっています。例え、バーコードを撮影しなくても、ブランド名さえ覚えていればネットで同じ商品を検索し、より便利でお得なサイトから買うでしょ?もちろん、店舗で試着をして自分のサイズを知り、フィット感を確認した上で。

ショールーミング化が進んできた今でこそ、オンラインで買う意味とオフラインで買う意味をはっきりさせるべきだと思うの。リアル店舗はブランドの世界観を表現し、実際の商品を試してもらうためのショールームに、振り切ってしまっても良いとすら思っています。ショールームなので、基本的に在庫は持たず、販売も行いません。

実物を見て・触って試着することはリアルの店舗でしか提供できない価値なので、自由に商品を触ることができ、試着が出来る環境を充実させることが必要。高級なブランドとなると、店員さんの目が常に光っているので、商品に触ることすら勇気がいるけれど、高級なもの程、触ってその良さを感じることが必要だと思うの。
また、ワークショップやイベントを開催して、顧客とブランドを繋げる場所として使うことも効果的だと思います。

ショールームに行くこと自体がイベントになるので、ショールームでしか買えない「お土産」的なアイテムすることをお忘れなく!オンラインでは買えないものを販売することで、リアル店舗に行く意味が付与されます。

 

■最後に – Parisの感想
最後に、厳格なルールによって時代の流れに対抗ことに力を注ぐよりも、この流れにどう適応するかを考えた方が得策だと私は思っています。電子書籍化について、日本の出版社がもたもたと協議をしている間に、amazonがkindleを販売し、あっと言う間にに電子書籍化が進んだのは記憶に新しいはず。消費者にとって、出版の事情なんてどうでも良いので、より便利なKindleを選ぶのは当然です。日本のファッション業界におけるショールーミングの波はもうすぐこそまで来ています。いかに新しい流れに対応するかが、今後の明暗を分けることになりそうです。

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■参考文献
http://www.statista.com/topics/871/online-shopping/chart/1024/showrooming-infographic/
http://marketingland.com/showrooming-an-incentive-for-creating-terrific-o-to-o-customer-experiences-60186
http://www.aimia.com/English/Media-Center/News-Releases/News-Release-Details/2013/New-Research-Debunks-Showrooming-Myths-Shows-Brick-And-Mortar-Retailers-How-to-Keep-Smartphone-Wielding-Shoppers-Spending-In-Store/default.aspx

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